ロッカーの隅にあった紙包みへ、ふと目がとまる。

(あっ、店長へのクリスマス・プレゼント!)

 心拍が倍速になった。

 きゅんと胸が締め付けられる。

 忘れる所だった。せっかく買ったのだから、渡さないのはもったいない。

 恥ずかしくて顔面が爆発しそうになったが、ぶんぶんと顔を左右に振り、おずおずと包装紙をつまみ上げた。

 事務室に居た店長へ、思い切って詰め寄る。

「て、店長! これ……クリスマス・プレゼントですっ!」

 振り向いた店長の眼前に包装紙が突き出され、店長は一瞬だけ呆気に取られた。笑顔が固まっている。時花の言動は相変わらず危なっかしい。

 暫時あって、事態を呑み込んだ店長は盛大に吹き出した。

「あはは。これはこれは風師さん、ありがとうございます。突然のことで度肝を抜かされましたよ……あいにく僕は何も用意していなかったのですが」

「お構いなくっ! 私が勝手に持って来ただけですから! ほんの気持ちです!」

 時花はたまらず茹でだこになった。

 頬が熱い。

 頭が沸騰しそうだ。