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()計のトラブルならお()せを……この時任(・・)刻が、皆様の悩みを解きほぐします」

 店長の口上は勇ましかった。夕暮れの店内に神がかった探偵が降臨したかのようだ。

 時花は彼の立ち居振る舞いに惚れ惚れしたが、当の女性客は不機嫌なままだった。見る目のない贋作ブランドに身を包んでいると、審美眼も腐ってしまうのか。そういう意味でも女性客は不憫だ。

「アタシは信じらんない! 信じるもんか!」

 女性客は強情だった。

 自分の恋人を詐欺師呼ばわりされたのだから、怒りはごもっともだ。

 店長も彼女の反感を買うことは予測していたのだろう。どんなに噛み付かれても身じろぎ一つせず、営業スマイルで訥々(とつとつ)と解説し直すのだった。

「あなたの恋人は、以前より当店のお得意様でした。あなたも、かの御仁から当店のことを聞いて、ロレックスを下見に来たのでしょう?」

「そ、そうよ。だから何?」

「あの青年客が当店を訪れる際、傍らには必ず異性の恋人がいらっしゃいました。しかも一定期間ごとに、異性は別人に変わっておりました」