「あの~店長。あの青年客も嘘つきなんですか? 彼のブランドは本物でしたよね?」
「答えは簡単です……あの青年はジゴロなんですよ。ヒモです」
「ヒモ?」
「数々の女性を引っかけ、騙して、金目の物を貢がせていたのでしょう」
「ああ……!」
衝撃が走った。
今まさに女性客が一人、有り金をはたいて高額商品を貢ごうとしているではないか。
青年客は過去の交際相手たちにも、それを繰り返していたのか。
女性と付き合うたびに高級ブランド品を買わせる。だから結果的に、身なりだけは豪勢な、一見すると金持ちのお坊ちゃんが出来上がった。
しかし実態は違う。
スーツもアクセサリも腕時計も、全て口八丁でせしめたに過ぎない。
「さぁ、解決編の始まりです」襟を正す店長。「時計のトラブルならお任せを……この時任刻が、皆様の悩みを解きほぐしてご覧に入れます」
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