「アルバム?」
 
誰のアルバムだろう? 首を傾げた私は手に取って開いて見る。

「っ!」
 
そのアルバムの中にあった写真を見て私は目を見開いた。

「これ……」
 
そこに写っていたのは小さい頃の私とお母さんだった。生まれた瞬間の私から始まり、写真の上には【六月六日、彩芽ちゃんが生まれた日】と書かれていた。
 
写真に写るお母さんは嬉しそうに涙を浮かべて、優しい眼差しで私を見ていた。
 
次にページをめくると、【彩芽ちゃんが這い這いしました】【彩芽ちゃんが笑いました】【彩芽ちゃんが智哉さんと一緒に寝ています】【彩芽ちゃんと一緒に公園で遊びました】など、お母さんと一緒に写った写真がたくさんあった。
 
その写真全部にはお母さんのコメントらしきメッセージが書き残されている。

「お母さんとの写真……こんなところにあったんだ」

ページをめくって行くとお母さんと一緒に東京タワーに行った事や、外濠公園でお花見をしたり、お母さんに抱っこされながら一緒に店番をしている写真。

全ての写真がお母さんと一緒に写っていて、お母さんはとても優しい笑顔を浮かべていたのだ。
 
しかし次にページをめくると【彩芽ちゃん二歳の誕生日おめでとう】というところで、写真は途切れていた。

「……」
 
写真がここで止まっているって事は……お母さんは――

「お〜い彩芽! 何処にいるんだ?」

「っ! お父さん!」
 
扉の向こうからお父さんの声が聞こえた。
 
まずいと思った私はアルバムを持って部屋のドアノブに手をかけ回す。扉を勢い良く前に押し、お父さんの居る部屋へと戻る。