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病院の外に出た私とじぃじは近くにあったベンチに座った。

ベンチに座ったじぃじは軽く息を吐くと、ゆっくりと青空を見上げた。じぃじに釣られて私も青空を見上げる。

「儂は……お前さんの事をよく知っておる」
 
その言葉を聞いて私はじぃじの横顔を見つめた。

「お前さんが……未来のアヤちゃんだって事を儂は知っておるよ」

「……やっぱり、じぃじだったんだね。私をこの時代に呼んだのは」
 
じぃじの言葉を聞く前に薄々気づいていたのだ。

この時代に私を呼んだのはじぃじではないのかと。最初はそんな事あり得ない、じぃじにそんな事が出来るはずがないと思っていた。
 
私をこの時代に呼ぶ事が出来るのは、私の事をよく知っている人物しかいないのだ。

多忙なお父さんがそんな事出来るはずがないし、小さかった私が無意識に呼んだ可能性も考えたけど、天才児だったらまだしも、そんな近未来的な事が出来る知能を二歳の私は持ち合わせていない。

その事は私が一番よく知っている。
 
病院で入院しているお母さんには無理だ。

ばぁばは一番可能性が薄かった。

現に今は友達と旅行中で、もし呼んでいたのならじぃじと一緒にお店にいるはずだ。そして最後に残ったのがじぃじだった。

「じぃじは……何で私をここに呼んだの?」

「それは結さんとの約束を果たす為じゃよ」

「……お母さんとの?」
 
お母さんとの約束ってなに? その為にじぃじは私を呼んだって事なの?

「未来の結さんは……もう居ないんじゃろ?」

「……うん」
 
私はゆっくりと頷いた。

「なるほどのう」