「綾乃さん! 結さんの事ありがとう!」
 
病院の廊下だと言うのに、じぃじは躊躇いもなく大声でそう言い放った。

「ちょっ!」
 
こんなところで何を考えているんだと思いつつ、病室の方を振り返ってお母さんに聞こえなかったか心配する。

今病室の中では大切な話をしている最中なのだ。じぃじの大きな声で大事なところを遮られたなんて事がなければ良いけど……。
 
私は軽く息を吐きじぃじに言う。

「頭を上げてください、おじいちゃん。私は何もしていませんよ」
 
苦笑しながらそう言うと、じぃじは下げていた頭を上げる。じぃじは複雑な表情を浮かべると

【少し……付き合ってくれんかのう?】と言った。

その言葉に頷いた私は、じぃじと一緒に病院の外へと出た。