この時代にはまだ【スマートフォン】という物は存在していない。【ガラパゴス携帯】を使っている人がほとんどだ。
 
ガラパゴス携帯――略してガラケーは今のスマホと比べると、機能が充実しているとは言えな
いだろう。

それでもこの時代では、最先端技術が搭載された高機能携帯電話だったのだ。写真を撮ってもメールを使えば共有出来たり、ネットに繋げば動画やニュースを見る事は出来る。テレビだって見れたのだ。
 
それに比べると今のスマホはWi-Fiを使えばネットや動画は見放題だ。電話やメールを使わずとも、L○NEアプリを使えば直ぐに連絡が取れる。

最近ではイン○タグラムというアプリに写真をアップロードし、公開した時に見栄え良く素敵に見える【イ○スタ映え】、というものが私たちの間で流行っている。

そんなガラケーにもない機能やアプリを私が悠々と使っていたら、じぃじたちはきっと驚くだろう。だから無闇矢鱈に使うわけには行かないのだ。

じぃじたちの前に出す事だって出来ない。せめて出来る事があるとすれば、精々時間を確認するくらいだろう。

「じっ〜」
 
すると、アヤちゃんがスマホをじっと見てきている事に気がついた。それはもう爛々とした瞳
を浮かべながらだ。

その瞳からは【なにそれ? すごくきになる!】という気持ちが伝わって来る気がした。
 
でも流石に触らせるわけには行かないので、電源ボタンを押さないように、アヤちゃんに見えるようにしゃがみ込んでスマホの画面を見せてあげた。

「ねえねえ! これなあに?」

「これは……」
 
返答に困る質問をされ一瞬言葉が詰まる。