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ご飯を食べ終えた後お店に戻ってからはじぃじの手伝いをしていた。

気がつけば空は茜色に染まり始めていて、時計の針は六時のところを指していた。

「六時……」
 
そろそろお店が閉店する時間になる。その為かじぃじはお店の方で店終いを始めている。

私はアヤちゃんと一緒に、奥の部屋で遊んでいるところだ。

「パパ……まだかな?」
 
私とお人形遊びをしていたアヤちゃんは小さく呟いた。その言葉を聞いた私はお人形を机の上に置く。

「大丈夫だよ、そろそろ迎えに来るから」
 
アヤちゃんは今にも泣きそうな顔で私を見上げてきた。そして直ぐに顔を伏せる。私はアヤちゃんに歩み寄り優しく抱きしめてあげた。

「……おねえちゃん?」

「大丈夫だよ、アヤちゃん。パパは絶対にあなたを迎えに来てくれるから」
 
私の言葉にアヤちゃんは小さく頷いてくれた。
 
お父さんが迎えに来てくれるまで小さい頃の私はずっと不安だった。約束の時間になっても迎えに来なくて、じぃじの家にそのまま泊まる日もあった。
 
じぃじやばぁばと一緒に居る時は寂しさを感じる事はなかった。でも【パパにとってわたしは、どういうそんざいなのだろう?】と思った時はあった。

そう思うといつからお父さんは、私との時間を大切にしてくれるようになったのだろうか? 

「お〜い、アヤちゃん! パパが迎えに来たぞ!」
 
お店の方からじぃじの声が聞こえ、アヤちゃんは顔を上げると嬉しそうに笑顔を浮かべた。

「パパだ! パパが迎えに来た!」
 
アヤちゃんは私の腕の中からすり抜けると、お店の方へと走って行った。嬉しそうに駆けて行くアヤちゃんの後ろ姿を見つめる。立ち上がった私もお店の方へと歩いて行く。