平成三十年八月――東京都新宿区。

とある骨董品屋にて、私はお父さんと一緒にじぃじの遺品整理をしに来ていた。

真夏の真っ只中、部屋には冷房も効いておらず、窓を開けても涼しい風なんて少しも入って来ない。

こんな日は冷房の効いた部屋で美味しいトロピカルジュースを飲みながら、一日中テレビを見ていたいものだ。

「ねえ、本当に今日やるの?」

外は今年に入って最高気温の三十七度。外に出るだけで汗が滲み出てくる。

そんな中お父さんに連れられて、一年前に亡くなったじぃじが経営していた骨董品屋に来ている。

高校生になって初めての夏休みを満喫しようとした矢先、【彩芽。今週の土曜日におじいちゃんの遺品整理をしに行くぞ】と言われたのが昨日の夜だ。

そのせいで夏休みに入って初めての作業が遺品整理となった。

遺品整理なんて直ぐに終わるものだと思っていたのだが、そう簡単に終わるものではなかった。

なんせ珍しい物が大好きだったじぃじが何十年もかけて集めたのだ。

一日で終る量ではなかった。

それに今日は天気予報で雨が降る予定だったから、涼しい中で作業が出来るかと思っていたのに、天気予報は見事に私の期待を裏切ってくれた。

そのおかげで真夏の昼間から遺品整理をさせられている。