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翌日――
 
じぃじからばぁばの部屋を使うように言われた私は、その日の夜はばぁばの布団を使って眠っ
た。
 
そして目を覚ました私は、何度か目を瞬きさせながら天井を見上げていた。

「やっぱり、夢じゃないか……」
 
目に飛び込んできた天井は私の部屋の物ではない。

見覚えのある木目の天井が広がっていて、小さい頃は夜に目を覚まして木目を見た時は、よく幽霊の目だと勘違いしたものだ。さすがにこの歳になるとそう思えなくなるのだが。

「……起きよ」
 
体をゆっくりと起こし大きく伸びをする。部屋にある時計を見ると針は七時のところを指していた。

「七時……開店するまで少しあるね」
 
お店が開くのは朝の九時、それまで二時間ほど猶予がある。じぃじはもう起きて朝食の準備を始めている頃だと思う。布団から出た私はそのままじぃじの居る部屋へと向かった。
 
廊下に出ると美味しそうなお味噌汁の匂いが漂っていた。そのせいで小さくお腹が鳴った。お腹を優しく擦りながら部屋の扉を横に引く。

「なんじゃ、もう起きたのかい?」
 
部屋の中から青と赤のチェック柄のエプロンを身に付けたじぃじが、驚いたように目を向けて来た。どうやら私が早く起きて来ると思っていなかったようだ。

「は、はい……目が覚めちゃったので」
 
本当は朝食の手伝いでもしようかと思ったのだが、テーブルの上には既に出来上がった朝食が並べられていた。それを目にした私のお腹が更に小さく鳴る。