仮に正直に応えたとしても、私がいる時代で何かしらの変化が起こってしまうのは確定事項なのだ。

もしかしたら生活に支障が出ないくらいの事かもしれない。また私の人生を百八十度変えてしまう程の事なのかもしれない。

それでもどのくらいの事が変化してしまうのか、今のところ把握出来ていないのだ。ならばここは、未来を変えないための手段を取るのが最善だろう。

「あ〜……綾乃(あやの)って……言います」

「むっ! 綾乃じゃと?!」
 
私の名前を聞いたじぃじは、どこか思うところがあったのか険しい表情を浮かべた。

まさか綾乃と言う名前をどこかで聞いた事があったのだろうか? それとも本当に綾乃と言う名前なのか疑問に思ってしまったのか? 

まずいと思って再び口を開いた時、じぃじは優しい笑顔を浮かべると話し始めた。

「なんじゃお前さん、綾乃って言うのか」

「……はい?」

「儂に孫が一人おっての、まだ二歳なんじゃが……それはもう可愛くてのう!」
 
突然、自分の孫話を始めたじぃじを私は目を点にして見つめた。

「名前が彩芽と言って、お前さんと名前が似ておるんじゃよ」

「そ、そう……なんですね」
 
嬉しそうに孫話をしてくるじぃじを見て苦笑しつつ溜め息を溢した。

じぃじの言う孫と言うのは間違いなく小さい頃の私だ。姿が見えないという事は今日は遊びに来ていないのだろう。

しかし紛らわしい表情を浮かべないで欲しいものだ。じぃじのせいで少し焦ってしまったではないか。

「儂の事をじぃじと呼んできてな、儂の後を着いてくるんじゃよ――」
 
さっきから私の話ばかりをしてくるじぃじを流しつつ、今後の行動についてまとめ始める。