お土産の事まで書かなくても良いのに、と思いつつ苦笑しながらじぃじに手紙を返す。

「今日は骨董品整理をする日じゃったから急な事で慌ててなぁ。急いではっちゃんの携帯に電話をかけたんじゃよ。そしたら【お手伝いさんが来る事になってるからその人に頼んで】と言われてブチッと切られたわい」
 
じぃじは高笑いしながら言う。しかしばぁばの言うその【お手伝いさん】が、本当に存在していたのか疑問に思うところだ。

「あの〜……ちなみにそのお手伝いさんって、どんな人が来るとか聞いてましたか?」

「いや、聞いておらんよ。聞く前に切られてしもうたからのう」

「そ、そうでしたね」
 
今の言葉で確信出来た。今日ここにお手伝いさんは来ない。

おそらく、お手伝いさんが来ると言ったばぁばの目的は、旅行をじぃじに邪魔されたくないという理由からだろう。

「まあ、はっちゃんの事は気にするな。今日中に出来るだけ終わらせたいから、掃除を手早くすませてくれ」
 
じぃじはそう言うと、畳の上に転がっていたホウキとチリトリを掴み私に差し出してきた。それを掴んだ私はその二つを交互に見下ろす。

あれ、ちょっと待って? 確かにお手伝いさんとして掃除する事になったけど、そもそもどうしてじぃじが私の前に居るんだっけ?!
 
もう一度そう思った時、再び段ボールに骨董品を詰め込んでいたじぃじが、何かを思い出したように声を上げるとこちらに振り返って言う。

「お前さん、さっき儂に平成三十年かどうか聞いてきたじゃろ?」

「あ、はい」

「お前さん、寝ぼけていたかもしれんが……今は平成十六年じゃよ」

「……っ!」
 
じぃじの言葉を聞いた私は目を丸くした。

やっぱりこれは夢でも幻でも何でもないのだと、そう思わされたのだ。

どうして亡くなったはずのじぃじがここに居るのか? どうして平成三十年ではなく平成十六年なのか? 考えに考え行き着いた先にあった言葉が頭の中に浮かんだ。
 
【タイムスリップ】――私は平成三十年から黒電話を使って、平成十六年へとタイムスリップしてしまったのだ。