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翌朝、ひとまず普段着で病院に向かった。
まだ時間は早いけれど、美乃の体調を確認するためだ。
外出許可はもらえたけど、長時間の外出は厳しい。
菊川先生や美乃の両親、信二や広瀬と話し合った結果、俺と美乃はあとから式場に行くことになった。
病室では顔色のいい美乃が、嬉しそうに俺を待っていた。
彼女は既に髪をセットしてメイクもしていたけれど、まだパジャマ姿だった。
「ちょっとアンバランスだな」
「そうなの! さっき廊下で笑われちゃった。いくら病人でも、この格好はないよね」
苦笑した俺につられるように、美乃が眉を寄せて笑った。
彼女の元気そうな姿を見て安心した俺は、家に帰ってすぐに支度をした。
二時間後、再び病院に戻ると、美乃はドレスに着替えて待っていた。
「可愛いよ」
彼女に軽くキスをしてから、車で式場に向かった。
式場に着くと、式の準備は整っているようだった。
「染井君、わざわざすまなかったね。美乃をありがとう」
「いえ。この度はおめでとうございます」
美乃の父親に声を掛けられた俺は、頭を下げてお祝いを言い、広瀬の両親にも挨拶をした。
「染井! 来てくれてありがとな!」
「信二、おめでとう!」
「おめでとう、お兄ちゃん!」
後ろから信二に声を掛けられ、俺と美乃は笑顔でお祝いした。
「そういえば、広瀬は?」
「由加なら控え室にいる。式がもうすぐ始まるからな」
「そっか。じゃあ、声掛けに行くか」
「いっちゃん、行こ!」
控え室に行くと、純白のドレスに身を包み、ブーケを持った広瀬がいた。
「広瀬、おめでとう! 絶対に幸せになれよな」
「由加さん、すっごく綺麗だよ!」
「ありがとう」
広瀬は涙ぐみながら、穏やかに笑っていた。
程なくして、いよいよ式が始まった。