「むしろさ、お前はもう身内だよ! 美乃の彼氏ってことは、俺の弟みたいなもんだし」


信二はニカッと笑って、俺をからかった。
すかさず、眉を寄せてしまう。


「お前の弟なんて嫌だよ……」

「あっ! それなら、私の弟にもなるじゃない!」


げんなりした顔の俺に、広瀬もそう笑った。
思わず、口元を引き攣らせてしまった。


ある意味、どっちも嫌だ……。


「でも、いいなぁ〜……。本当に羨ましい」


笑顔で零した美乃に、瞳を緩める。


「ふたりは美乃の憧れだもんな! 結婚式、楽しみだな!」

「美乃もおしゃれしろよ!」

「一緒に服見に行こうね? 私のドレスも見立ててほしいし!」

「えっ⁉ いいの⁉」

「もちろん! 可愛い妹にドレスを見立ててもらえるの、楽しみにしてるんだからね」

「うん! 由加さんのドレス選びなら、私も一緒にしたい!」


楽しそうに話す三人に、俺はふと疑問をぶつけた。


「俺が行ったら浮くんじゃないか?」

「大丈夫だよ、いっちゃん」

「親にも許可は取ってあるからな! でも、作業着で来るのだけはやめてくれよ!?」

「バーカ! 染井がそんなことするわけないでしょ!」

「いやいや、染井なら……」

「そんなことするわけないだろ! でも、ちゃんと出席させてもらうよ」

「ふふっ、楽しみだなぁ。由加さん、どんなドレスが似合うかなー。今から調べておかなきゃ!」


突然の嬉しい報告に病室がパッと明るくなったようで、俺たちは内田さんにまた叱られないように気をつけながらもずっと笑っていた。
そして、面会時間が終わる前に病院を後にし、そのまま信二と広瀬と飲みに行くことにした。