「俺達、結婚することにしたんだ」

「えっ!?」


予期だにしなかった報告に、俺と美乃が驚きの声を揃えた。


「この間、美乃ちゃんや染井と話したあとに、もう一度ふたりで話し合ったの。それで、『この先もやっぱりお互い一緒にいたいから結婚しよう』ってことになって……。あんなこと言ったあとだから、なんだか恥ずかしいんだけど……」


「もう両方の親から了承はもらってる。まぁ、急かされてたくらいだからな」


広瀬も信二も、どこか照れ臭そうに笑っている。


「おめでとう! 絶対に幸せになれよな!」

「ふたりとも幸せになってね! 本当によかったね、由加さん! 本当におめでとう!」


俺と美乃は口々にお祝いを言い、ふたりは照れ臭そうにしながらも笑った。
病室内が、温かい雰囲気に包まれる。


「結婚式と入籍はどうするんだよ?」

「式は、近いうちにするつもりなの。急だから、身内だけになるけどね。籍はまだわからないけど、今年中にはどっちも済ませるつもりよ」

「じゃあ、色々と大変だな」

「まぁな。それより、お前も絶対に結婚式に来てくれよ!」

「えっ? 身内だけだろ?」

「なに言ってるんだよ! お前はもう身内みたいなもんだろ!」


身内だけの結婚式なのに、俺も招待してくれるらしい。
嬉しい反面、本当に参列してもいいものなのかがわからなかった。


「そうよ、来てよね! 染井のおかげなんだから! あの時、染井にあんな風に言われなかったら、私は踏み切れなかったと思うしね」


広瀬が俺の肩をバシッと叩き、満面に笑みを浮かべた。
あの時は出過ぎた真似をしたと少しだけ後悔していたけれど、彼女の言葉で救われた。