翌日、信二と広瀬にも連絡をして、俺たちは日曜日の計画を立てた。
嬉しいのはみんな同じで、それぞれが浮かれた気持ちを隠せないのは明白だった。


「誰が運転する?」

「やっぱり染井だろ!」

「えっ⁉ いっちゃんって、運転できるの⁉」

「当たり前だろ! ちゃんと車も持ってるから出すよ!」


目を小さく見開いた美乃に、笑みを浮かべて見せる。


「一時に病院を出たら、たぶん二時前には着くだろ。渋滞しても、せいぜい三十分程度だろうし」

「じゃあ、帰りは五時に向こうを出れば、夕食までには戻ってこれるよね?」

「フッフッフッ……美乃と水族館なんて……。兄ちゃんは本当に嬉しいぞーっ‼ ああ、早く日曜日になってくれー‼」

「ちょっと! それは染井の台詞でしょ! このバカッ!」


ずっと気持ち悪い笑顔でいる信二に、広瀬が鋭いツッコミを入れた。


「なに言ってるんだよ! 妹愛ならだれにも負けないからな!」

「やだー! 出た、シスコン! 美乃ちゃん、ちゃんと気持ち悪いって言っていいんだからね!」

「おい、気持ち悪いとはなんだ!」

「ありのままだけど?」

「ふん! 俺の可愛い美乃は、兄ちゃんを気持ち悪がったりしないんだよ! 残念だったな!」

「バカもここまでくると、いっそ清々しい気がするわ」


相変わらず、夫婦漫才のように息ぴったりのふたりを見て、俺と美乃はお腹を抱えるようにして笑った。
俺たちはまるで修学旅行の時みたいに、時間を忘れてはしゃいでいた。