この日をきっかけに、俺は病院に行かなくなってしまった。
それは夏が近づいて仕事が忙しいからとか、そのせいで普段にも増して疲れているからとか、そんな理由じゃなくて……。
やっぱり、あの一件が原因で行きづらくなってしまったからだ。
すぐには割り切れなくて、何度か病院に行こうかと思うこともあったものの、なんとなく気分が重くてそのうち自然と足が遠退いた。
というよりも、繁盛期に入ったのをいいことに、逃げ道と言い訳を作るように残業を増やした。
美乃を可愛がっていたから離れてしまうことに少しだけ寂しさを感じたのも事実だけれど、中途半端な状態になるくらいならきっと会いにいかない方がマシだ。
だって、俺は彼女のことを妹としてしか見ることができないし、恋愛感情はまったくないんだ。
美乃は、なによりも同情を嫌がるのに、顔を見れば以前までように接することができる気がしない。
だから、もう行かない方がいい。
胸の奥で燻る罪悪感にも似た感情には気づかない振りをして、彼女から距離を取ろうと決めた。
そして、まるで自分自身に言い聞かせるかのように、行かない方がいいと思える言い訳を必死に繰り返していた――。
それは夏が近づいて仕事が忙しいからとか、そのせいで普段にも増して疲れているからとか、そんな理由じゃなくて……。
やっぱり、あの一件が原因で行きづらくなってしまったからだ。
すぐには割り切れなくて、何度か病院に行こうかと思うこともあったものの、なんとなく気分が重くてそのうち自然と足が遠退いた。
というよりも、繁盛期に入ったのをいいことに、逃げ道と言い訳を作るように残業を増やした。
美乃を可愛がっていたから離れてしまうことに少しだけ寂しさを感じたのも事実だけれど、中途半端な状態になるくらいならきっと会いにいかない方がマシだ。
だって、俺は彼女のことを妹としてしか見ることができないし、恋愛感情はまったくないんだ。
美乃は、なによりも同情を嫌がるのに、顔を見れば以前までように接することができる気がしない。
だから、もう行かない方がいい。
胸の奥で燻る罪悪感にも似た感情には気づかない振りをして、彼女から距離を取ろうと決めた。
そして、まるで自分自身に言い聞かせるかのように、行かない方がいいと思える言い訳を必死に繰り返していた――。