なぁ、美乃……。
美乃はちゃんと幸せだったと、俺は信じることにするよ。


だけど、きっと本当に幸せだったのは、俺の方だと思う。
俺は美乃と出会って、本気の恋愛をしたんだ。


美乃を失うと思った瞬間、俺は自分の気持ちに気付いた。
美乃を手に入れた時、本当に嬉しくて堪らなかった。
美乃を抱いた夜、このまま一緒に消えてしまいたいと思った。

美乃を失った時、俺はあまりにも苦しくて、悪くもないお前を憎んだ。
どうして俺を置いて逝くんだ、って思ったんだ……。


だけど、美乃はちゃんとわかってたんだよな。
俺の壊れた心を癒してくれたのは、もうこの世にいないはずの美乃だった。


美乃……。

ソメイヨシノの木は、もう見つけたか?
あともう少しだけ、そこで待っててくれないか。
寂しいかもしれないけど、俺との思い出があるだろ。


そういえば、『思い出は全部持っていく』って言ってたのに、結局残してくれたな。
お前からの“最後のメッセージ”、ちゃんと受け取ったよ。


ありがとう――。