「美乃、先に入ってこい。俺もあとで入るから。ゆっくり浸かれよ!」


パジャマのままの美乃は、素直に返事をしてバスルームに向かった。
その間、俺はキリのいいところまで朝食の準備をしておいた。


そのあとでトレーナーを脱ぎ捨て、下半身のスウェットだけでバスルームに向かう。
脱衣所で手早く全裸になり、そっとバスルームのドアを開けた。


「美乃ちゃん!」


シャワーを浴びていた彼女は、途端に動きを止めて瞠目した。


「……っ! ……キッ、キャーーーッッ‼」


直後、まるで俺のことを痴漢だと言わんばかりに、両手で体を隠しながら叫んだ。


「近所迷惑だろ」


俺は苦笑しながら、美乃の唇を塞ぐためにキスをした。
程なくして唇を離してから湯舟に浸かり、何事もなかったかのような笑顔で彼女を見上げた。


「わ、私……もう出るっ……!」


美乃は、視線を逸らしてドアを開けようとしたけれど、俺はすかさずその手を掴んで引き止めた。


「ちょっ……!」

「いいからおいで」


柔らかい笑顔を向けると、彼女が渋々といった感じで湯舟に浸かった。


「信じられない……」

「なにが?」


ケロッとした表情で笑い掛ける俺に、美乃は口をパクパクとさせる。


「な、なにがって……! 普通、私がいるのに入ってくる⁉」

「美乃がいたから入ってきたんだよ」

「『あとで入る』って言ったじゃない! 嘘つき!」

「嘘なんかついてないだろ? 俺は、『お前が上がってから入る』とは言ってないぞ」

「……っ、バカッ‼ そういうの、屁理屈って言うのよ!」

「ほら、おいで」


湯舟の端で拗ねている彼女の体を、そっと抱き寄せる。