結局断り切れなくて信二と一緒に病室に行くと、今朝出会った女は俺を快く迎えてくれた。
だけど、俺は彼女をまともに見ることも、目を合わせることもできない。
自分でもよくわからないけれど、なんだかここにいたくなかった。
すると、女は核心に触れてきた。
「お兄ちゃんから、私のことを聞いた? だから、目を合わせないんでしょ?」
「えっ?」
咄嗟に否定しようとしたけれど、女と視線がぶつかるとなにも言えなかった。
俺を見つめる彼女の瞳が、なんだか俺のすべてを見透しているような気がしたから。
「ねぇ、そんな顔しないでよ。私は確かにずっと入退院を繰り返してるけど、別に不幸じゃないよ。不便なこともあるけど、毎日楽しいもん。ただ、あなたみたいに同情する人がいると、不幸な気分になるけどね」
さっきまでは女の顔を見ることができなかったのに、凛とした表情の彼女から視線を逸らせなくなった。
無意識のうちに女に同情していた自分がいたことに気づいて、慌てて反省する。
「ごめん……」
「今朝とは正反対ね!」
小さく謝罪を零した俺を見て、女が楽しげに笑っていた。
その笑顔にホッとした俺は、イヴだというのにそのまま病院で過ごし、面会終了の時刻を迎えてから信二と飲みにいった。
人生で初めての病院で過ごしたイヴは奇妙な一日だったけれど、なんだかすごく楽しかった。
俺と美乃の出会いは偶然で微妙で……。どこか不思議なものだった――。
だけど、俺は彼女をまともに見ることも、目を合わせることもできない。
自分でもよくわからないけれど、なんだかここにいたくなかった。
すると、女は核心に触れてきた。
「お兄ちゃんから、私のことを聞いた? だから、目を合わせないんでしょ?」
「えっ?」
咄嗟に否定しようとしたけれど、女と視線がぶつかるとなにも言えなかった。
俺を見つめる彼女の瞳が、なんだか俺のすべてを見透しているような気がしたから。
「ねぇ、そんな顔しないでよ。私は確かにずっと入退院を繰り返してるけど、別に不幸じゃないよ。不便なこともあるけど、毎日楽しいもん。ただ、あなたみたいに同情する人がいると、不幸な気分になるけどね」
さっきまでは女の顔を見ることができなかったのに、凛とした表情の彼女から視線を逸らせなくなった。
無意識のうちに女に同情していた自分がいたことに気づいて、慌てて反省する。
「ごめん……」
「今朝とは正反対ね!」
小さく謝罪を零した俺を見て、女が楽しげに笑っていた。
その笑顔にホッとした俺は、イヴだというのにそのまま病院で過ごし、面会終了の時刻を迎えてから信二と飲みにいった。
人生で初めての病院で過ごしたイヴは奇妙な一日だったけれど、なんだかすごく楽しかった。
俺と美乃の出会いは偶然で微妙で……。どこか不思議なものだった――。