また朝が来た。
今日で学校を休み始めてから10日。そろそろママの目も厳しくなってきた。

「学校、行かなきゃな……」

そう思うけれど、身体はベッドの上から動かない。
まだ、怖いのだ。――片岡さんに会うのが。会えないのが。

「どうしよう……」

時計を見るともうすぐ10時。今更ではあるけれど、今日も休むとママに伝えようと下に降りると、もう家には誰もいなかった。
机の上には一枚のメモ。

「叔父さんが倒れたから、向かいます。何かあったらお隣に。だって」

慌てた様に書きなぐられたメモ。起こしてくればいいのに、なんて思いながら準備された朝ごはんを口に運ぶ。

「はぁー……」

この後どうしよう、なんて思いながら時計の針が動くのをボーっと見ていると……玄関のチャイムが鳴った。

「誰だろう……」

そっと窓から外を見る。そこには――。

「片岡さん!?」

あの日以来一度も会っていなかった、片岡さんの姿があった。

「な、なんで!? どうして!? え、どうしよう!?」

もう一度室内にピンポーンとチャイムの音が響く。

「は、はい!」

慌ててドアを開けると……そこには、優しい笑顔の片岡さんの姿があった。

「こんにちは」
「こ、こんにちは!」
「――体調大丈夫?」
「あ、えっと……はい」

これ、と紙袋を差し出すと――片岡さんは言った。

「少し、お邪魔しても……いいかな」