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　ごらん。
　目の前に、金髪の女の子がいるだろう。そう、真っ青な芝の上を駆けているあのワンピースを着た女の子さ。
　見たことないかい？　でも、聞かなくったて、名前は知っているはずさ。

――アリスだよ。

　今ではすっかり歳をとって、日本の小さな町で小さな雑貨屋を営んでいるおばあさんにも、こんな幼いころはあったのさ。今の君と同じように。
　逆にいえば、君にもいつか、おばあさんになる日が来るってことさ。
　信じられないって？　ふふ、子供のころは、そんなものだよ。

　ほら！　気をつけていないと、アリスは走っていってしまう。行方を追うよ。

　おや、アリスはどうやら子供部屋へ入ったようだね。部屋中がピンク色で覆われた、アリスの部屋だ。
　壁にかかっている真っ赤なバラ。あれはね、アリスがこの間のお誕生日におばさんからもらった大切なバラなんだ。部屋の中でもうまく育てているんだね。
　窓の脇にあるブリキの缶の中には、カナリアの餌が入っている。見てごらん。足りない身長を補おうと、一生懸命つま先立ちしてカナリアにえさをやっている。