どきり、と心臓が跳ねる。



「だって、よく見ればあなたって、すっごく整った顔しているじゃない」



 女性に面と向かって「整った顔をしている」と言われたのはこれが初めてではなかったのにも関わらず、私は自分の心が浮き立っているのを感じた。

 それがなぜか、というのは、言わずもがな。



「まだ料金の2%しか支払えていないし、全額払い終えるまででもいいから、私と付き合わない?」



 右腕を私の左腕とからませて、媚びるような目つきで彼女は言った。

「冗談はやめなさい」
と私はおもわず呟いた。