良い方法も分からず、タイミングも逃しっぱなし。電話すら出来ずにいた。

 そんな状態を変えてくれたのは、やはり兄だった……。

 悩むよりも、思い切って会いに行けばいい、と。

「ごめん、お兄ちゃん。私、まだお母さん達に会いに行けてないや……」

「……優子」

「せっかくお兄ちゃんに背中押してもらって、家に帰る勇気出たのに。今は、その勇気消えちゃってて」

「……」

「ホント、私って最悪だよね。あの日も肝心なもの忘れるし。そもそも、私がもっとちゃんとしてたら、あの日はなかった訳じゃん? お兄ちゃんが死ぬ事も無かったんだよ? 私のせいだよ……全部。私がお兄ちゃん巻き込んだ」

「お前、そんな風に……」

「それなのに私だけ……。申し訳なくて、親の顔なんて見れない。こわいよ…」

 兄の顔が、悲しげに歪む。

「事故は優子のせいじゃない。母さん達だって、そう思ってる。だからそう言うな」

 ぽんぽん、と大きな手が私の頭を撫でる様に包んだ。