いつの間にか恐怖心と不安は消えていて、代わりに男性の真意を探ろうとし始めている自分がいることに気づいた。


自分自身のことを超能力者だなんて言う怪しい人なのに、私を見つめる瞳があまりにも真っ直ぐなせいでこの人がふざけているとは思えなくなったのだ。


「明日の夜、またここに来て。絶対に変なことはしないし、君が嫌がることもしない」


優しく言われて思わず頷いてしまいそうになったけど、首を縦に振ろうとした瞬間にハッとした。


「そんなの、信じられるわけないでしょ」


「約束する」


「知らない人を信用できない」


無意識のうちに敬語を忘れていた私は、男性から視線は逸らさないままでいた。


逸らせなかったさっきまでとは違って今は故意に逸らさずにいたのは、そうすることで彼の真意を見つけようとしていたのかもしれない。


「じゃあ、友達と来てもいいから」


「友達なんて……」


言い掛けて口を噤んだ私に、男性がすべてを悟るようににっこりと微笑んだ。


不意打ちの笑みはとても優しげで、思わず心を奪われてしまいそうになったけど……。


「せ、せめて理由くらい話して」


まるで虚勢を張るように少しだけ強めの口調で言えば、今度は困ったような微笑を返された。