しばらくツキを撫でたあと、「片付けるから待っててね」と下ろした。


そんな時のツキの瞳はどこか不満げに見えて、なんだか申し訳なくなるのはもちろん、益々愛おしくなる。


最初は反対していた両親も今ではツキを可愛がっているし、ツキも両親と接する時間が短いわりには懐いているとは思うけど……。


それでも、ツキが一番懐いているのは私だというのは明白で、それ故に私の責任感や愛情もとても強い。


だからこそ、どんなに忙しくてもツキとの時間は大切にしている。


「ツキ、おいで」


手早く洗い物をしたあとでツキに声を掛けると、三歩ほど離れた場所に座っていたツキがすぐに寄って来た。


ツキを抱き上げると、腕の中の重みがツキの存在をしっかりと感じさせてくれて、安心したように抱かれるツキと同様に私もそんな気持ちになる。


「ちょっと痩せたね……」


ただ、今日は今まで以上に心配になって、素直にツキの体温と重さを感じるだけでは済まなかった。


自室に戻ってツキを下ろすと、私の様子を窺うようにしていたツキは、私が机に向かった直後に足元で寝転がった。


いつも通りのツキに癒やされた私は、時折ツキの薄茶色の尻尾が素足に触れるのを感じながら宿題をこなした。