「あのっ! お祭り、行かない……?」


「え? 今日、どこかでやってるの?」


「あっ、そうじゃなくて、夏休みにって意味だったんだけど……。堀田さんと中野さんと行けたらな、って……」


語尾が小さくなっていった私の話を聞いて、ふたりはどう思ったのだろう。


うちに遊びにきてくれて嬉しかったし、今日はずっと楽しい時間を過ごせていると思っているけど、もしそれが私だけが感じていることだったとしたら……。


調子に乗っている、なんて思うような子たちではないけど、図々しいと思われてしまうかもしれない。


「いいね、行こうよ! 中ちゃん、お祭りっていえばどこだろ?」


「学校の近くの大きな公園でやってるよね」


そんな私の不安を余所にふたりは盛り上がり始め、気がつけばスマホでこの辺りのお祭りを検索していた。


「ちーちゃんのおすすめってどこ?」


「あ、私はあんまり知らなくて……。堀田さんと中野さんのおすすめのお祭りってあるの?」


胸を撫で下ろした私は、中野さんの質問に苦笑したあとで質問を返した。


すると、堀田さんが唇を小さく尖らせた。


「ちーちゃん、あだ名で呼んでよー」


「え?」


不意に話が飛んだことに瞳を見開くと、彼女は不満げな顔をした。