お菓子を食べながら交わす会話は弾み、何度も笑い声が響いた。


家の中がこんなにも賑やかなのは久しぶりで、ふとした時にクロのことを考えてしまうと胸が苦しくなったけど、それでも明るいふたりにつられてよく笑っていた。


「ちーちゃん、なんで制服のままなの? 中ちゃんと楽しみにしてたのに」


「え?」


「ちーちゃんがパンツ派かスカート派かって、電車の中でほっちゃんと話してたんだよ」


「いつもはすぐに着替えるんだけど、私だけ私服って恥ずかしくて……。私、全然おしゃれじゃないし」


「楽しみにしてたのに! でも、いいや。夏休みの宿題する時は、私服で集合だからね!」


いつの間にかツキは私の膝の上に移動して、気持ちよさそうに丸まっている。


無意識に顎の下を撫でるとツキがゴロゴロと喉を鳴らしたから、ふたりが声を揃えて「可愛いー!」と満面の笑顔になった。


「触っちゃダメかなぁ?」


「今日はやめとこうよ。ツキちゃん、まだ私たちに慣れてないだろうし」


じっとツキを見る堀田さんを中野さんが窘めたけど、私の膝の上にいるとはいえ、ツキはずっと落ち着きを見せているから大丈夫だと思う。


少しだけ悩んだあと、彼女たちに「たぶん大丈夫だと思うよ」と笑って見せた。