「どうぞ」


駅まで迎えにいった私は、「お邪魔しまーす」と声を揃えたふたりを部屋に案内した。


「ただいま、ツキ」


ドアを開けると、さっきと同じように座っていたツキが「ニャア」と鳴いて出迎えてくれた。


「可愛いー!」


「うわぁ! 写真よりイケメーン!」


そんなツキを見た中野さんと堀田さんは口々に褒め、その声にビクッと体を強張らせたツキは私の傍にすり寄ってきた。


「あ、ごめん。びっくりさせちゃった?」


「ツキはあんまり家族以外の人と接する機会がなくて……。だから、人見知りしちゃうかも」


「そうなんだ」


「ほっちゃん、今日は近寄り過ぎないようにしよ?」


堀田さんの質問に不安を感じながら答えると、中野さんが私とツキを交互に見て笑った。


理解してくれたことにホッとし、「飲み物持ってくるね」と言うと、私の後を追ってきたツキと一緒に部屋を出た。


「ツキ、いい子で出迎えてくれてありがとう」


きっと驚いたはずなのに大人しくしてくれたことが嬉しくて、階段を降りながら笑みを零すと、腕の中にいるツキが私を見て小さく鳴いた。


そんなツキを見ていると昨夜の言葉は身勝手だったと反省し、「でも、やっぱり無理しなくていいよ」と微笑んだ。