「ただいま、ツキ!」


帰宅して一目散に自室に行くと、「ニャア」と鳴いたツキがドアの前で出迎えてくれた。


普段は家に誰もいなくてもツキが自由に動けるようにドアを解放しているけど、夏場だけは部屋のドアを閉めて28°Cに設定したエアコンを稼働させている。


だから、先週からツキは私の部屋で見送りと出迎えをしてくれているのだ。


「あのね、聞いて!」


スクールバッグを放り投げるように置くと、抱き上げたツキにふふっと笑いかけた。


さっきの出来事を早く話したくて、家に着くのが待ち遠しかった。


興奮した声音がその気持ちを雄弁に語っていて、私に抱き上げられたツキはびっくりしているようにも見える。


いつもなら寝る前にゆっくり話すのに今は夜まで待てなくて、堀田さんと中野さんが部活に行くまでの楽しかった時間を思い出しながら一気に話した。


「私、ちーちゃんだって。それにね、今日はバレー部のメンバーとお昼を食べながらミーティングするから無理だったんだけど、今度お弁当も食べようって誘ってもらったの」


今日は緊張してふたりのことをあだ名で呼べなかったけど、そんなことも楽しかった。


ツキにもその気持ちが伝わっているのか、ツキは私の鼻先をペロペロと舐めた。