「中学までは、私にも親友だと思ってる子がいたんだ」


なにから話せばいいのかわからないまま口にしたのは、彩加のことだった。


親友だと思っていた。


彼女もそう思ってくれている、と信じていた。


「でも……」


だけど、今にして思えば、たぶん私と彩加の気持ちには少しだけ差があったのだと思う。


「中三の時にクラスの派手なグループの子たちから目を付けられて……。それをきっかけに、その子とも疎遠になっちゃった……」


彼女のことを悪く言えないのは、あの絶望を感じた瞬間よりも以前の記憶ではたしかに笑い合っていたから。


だから、味方でいてくれると言った彩加が私から離れて行った理由を知りたいとは思ったことはあっても、彼女を恨み切ることはできなかった。


「それまでは、クラスメイトとも雑談くらいしてたんだけどね」


声が震えそうになっていることに気づいて、瞳を伏せて深呼吸をひとつした。


気持ちが落ち着くことはなかったけど、ここで口を噤んでしまったらもうこの先は話せないような気がして……。


「そのグループに目を付けられてからは、みんなあっという間に目も合わせてくれなくなって……」


ひと思いにそこまで言ったあと、息をゆっくりと吐いた。