変なの……。どうでもいいって思ってたはず、なんだけどな……。
クロと出会った十日前の夜は、私の中にはまだなんの変化もなかった。
誰とも必要以上に関わるつもりはなかったし、強引な彼に戸惑い、苛立ちを感じていた。
だけど……。
今の私は、あの日の私とは、たぶんなにかがほんの少しだけ違っている。
それは、自分でもよくわからないくらいの些細な変化で、具体的になにが変わり始めているのかはまだ見えていない。
ただ、月曜日と火曜日にはできなかった挨拶を、昨日と今日はできた。
誰も褒めてくれないようなできて当たり前ことだけど、昨夜クロに報告した時は笑ってくれた。
彼の前では平静を装いながらもそれを嬉しいと思う気持ちがたしかにあって、そんな風に感じていることですら今までとは違うのだ。
「はい、今日はここまで」
チャイムと同時に先生の声が響き、授業が終わったことに気づいた時、クラスメイトの大半が立ち上がっているのが視界に入り、私も慌てて腰を上げて一礼をした。
黒板の文字を全部書き留めることができていなくて、着席したあとで焦りながらノートにシャーペンを走らせたけど、程なくして日直の男子が黒板を消し始めてしまい、最後の一行を写せなかった。
クロと出会った十日前の夜は、私の中にはまだなんの変化もなかった。
誰とも必要以上に関わるつもりはなかったし、強引な彼に戸惑い、苛立ちを感じていた。
だけど……。
今の私は、あの日の私とは、たぶんなにかがほんの少しだけ違っている。
それは、自分でもよくわからないくらいの些細な変化で、具体的になにが変わり始めているのかはまだ見えていない。
ただ、月曜日と火曜日にはできなかった挨拶を、昨日と今日はできた。
誰も褒めてくれないようなできて当たり前ことだけど、昨夜クロに報告した時は笑ってくれた。
彼の前では平静を装いながらもそれを嬉しいと思う気持ちがたしかにあって、そんな風に感じていることですら今までとは違うのだ。
「はい、今日はここまで」
チャイムと同時に先生の声が響き、授業が終わったことに気づいた時、クラスメイトの大半が立ち上がっているのが視界に入り、私も慌てて腰を上げて一礼をした。
黒板の文字を全部書き留めることができていなくて、着席したあとで焦りながらノートにシャーペンを走らせたけど、程なくして日直の男子が黒板を消し始めてしまい、最後の一行を写せなかった。