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翌週の木曜日は、朝からずっと雨が降っていた。


六月は今日で終わるけど、どうやら梅雨はまだ明けそうにないらしい。


クロと出会ってから十日が経つことに気づいたのは、今朝リビングで目にしたカレンダーが早くも七月になっていたから。


気の早い母が朝から六月のカレンダーをめくってしまったようで、紫陽花の写真だった紙は青空と海の夏らしい景色のものに変わっていた。


土曜日にほんの僅かに心境の変化を感じたあとも、毎日ずっとクロに会っている。


なぜかあの公園にこだわっている彼のせいで、雨が降っていた月曜日と火曜日もいつものように公園で会うはめになり、せめてできるだけ濡れないような場所を探した末、滑り台の下にある土管の中で過ごしたのだ。


長さは3メートルほどあるけど、所詮は子どもが中を通り抜けるための円柱のような空間。


体を丸めるようにして座っていても、高校生の私と二十歳のクロには狭く感じた。


それなのに、彼はなんだか楽しそうにしていて、ファーストフード店やファミレスに行こうなんて言えなかった。


『今週こそ、ちゃんと会話をすること。内容はどんなことでもいいから』


そんな私を余所に、クロは改めてそんな指示を出してきた。