「家族の猫には、普通に笑い掛けてるだろ? その時の感じで笑えばいいんだよ」


「猫じゃなくてツキって呼んで! って、なんでそんなことまで知ってるのよ!?」


まさかツキに話したことまで筒抜けなのかと焦ったけど、クロはどこか気まずそうに笑った。


「だって、俺、超能──」


「それは聞き飽きた。そもそも、超能力って言うなら、なんか見せてよ」


「えっ……」


すると、彼はバツの悪そうな顔をして、視線を僅かに泳がせ始めた。


てっきり言い包められるかと思っていたのに、なにか触れられたくない理由でもあるのかもしれない。


クロの弱味を見つけられたような気がして、自然と口元が緩んでいた。


いつも彼に振り回されてばかりなのだから、少しくらい仕返しをしたってバチは当たらないはず。


そんな風に思った私は、気が大きくなっていた。


「なんでもいいよ。スプーン曲げとか、予知とか? なんかできないの?」


挑発するように笑って見せれば、クロが瞳を小さく見開いたあとで、ふっと微笑んだ。


「ちゃんと楽しそうに笑えるじゃん」


「え?」


突然、自分では自覚していなったことを指摘されてきょとんとしてしまい、彼に言われた言葉の意味をすぐには理解できなかった。