「雫を入れる物を作ってヴェルト・マギーアを使う」
　
その応えを聞いたアレスはこちらに振り返る。そして苦しい表情を浮かべると言う。

「俺も……その考えと同じだ。だから――」
　
アレスは目の前のガラスケースを見上げた。釣られてガラスケースを見上げた時、目の前の光景を見て目を丸くした。

「こ、れは……？」
　
吐き気がして思わず口元を抑えた。
　
ガラスケースの中にいる者の体は、所々から内蔵が飛び出ている。手足の骨はむき出しの状態になっていて、体は元の形を保っておらずバラバラになって浮かんでいた。

「人造人間(ホムンクルス)の実験ね」
　
テトは何とも思わないのかガラスケースの方へと歩いて行く。

「人造人間の実験って……そんなっ！」
　
人造人間を作ることはどの街や国でも法律によって禁止されている。

なぜなら人造人間を作ること自体が禁忌の魔法なのだ。

「人造人間の実験が禁止されたのは、昔のある科学者が原因だったかしら？」
　
♢ ♢ ♢

数百年前――
　
事件を起こしたとされる科学者には幼馴染の恋人がいた。その恋人とはお互い心から深く愛し合っていた。

恋人のお腹の中には科学者の子供がいて二人は結婚を間近に控えていた。

しかしある日事件が起きた。科学者が街に出かけている日に、恋人は無残な姿で発見された。