アレスは躊躇うことなく扉を開ける。するとそこには地下へと続く階段が続いていた。

「行くぞ」

「うん」
 
アレスを先頭に私たちは地下へと続く階段を下りていった。

♢ ♢ ♢

地下の階段を下りて行くと大きな広い部屋へと出た。

「ここは?」
 
私は部屋の中を見回した。
 
部屋の中は思ったよりも綺麗できちんと整理されていた。

床には本が数冊転がっているだけで怪しいものは特に見られない。

「おそらく実験に使った道具や資料を保管していた場所なんだろう」
 
アレスは部屋の奥を見つめるとそこに向かって歩いて行く。

「アレス?」
 
部屋の奥にもう一つ部屋があるのが見えた。私も奥の部屋に向かって歩いていく。

奥の部屋には青い光に照らされるガラスケースがぽつんと真ん中にあった。

その中には何かが浮いているように見える。アレスはそのガラスケースを間近で見上げていた。

「なあ……ソフィア。もしヴェルト・マギーアを使うとしたら、お前はどうやって使う?」

「いきなり変なこと聞かないでよ」
 
アレスはこちらに振り向きもせずそう聞いてくる。

「良いから応えてくれ」

「……」
 
私は少し考えてから口を開いた。

「……アレスが言っていた通り、最初は集めた雫を一つの結晶体にするかな」

「それから?」
 
まだ私に応えを求めているのか、アレスがそう聞いてくる。

「雫を一つの結晶体にしたところで、その雫を使う者が居ないと駄目だから」
 
私は少し間を空けてから考えたことを言葉にした。