「なるほど。面白いこと考えたわね」
 
テトは目を細めるとアレスに笑いかける。アレスもテトに笑い返す。

「……何か私に隠してるの?」

「こっちの話しだからソフィアは気にするな」
 
そんなこと言われたら気になるのは当たり前だ。

「じゃあその手帳に書かれていること私に見せてよ」

「ここでやるのか?」
 
手帳をアレスから受け取る。

「ここで覚える方が早いでしょ?」
 
アレスにそう告げベンチに座り直した私は、手帳を見ながらそこに書かれた内容を声に出して読み上げていった。

★ ★ ★

「ほんとよく思いついたわね」

「彼女が記憶を消せるなら、記憶を記録する魔法もあると思ったんだ。もちろん記憶の魔法をかけた者は、その者を記憶を自由にいじれるんだろ?」

「正解よ。でもあの図書室にそれが記された魔法書があるなんて思っていなかったわ」

「探すのに時間はかかったさ」
 
俺は制服のポケットからある物を取り出した。

「それは?」

「マジックアイテムの一つ【早見の魔鏡】だ。この眼鏡型のマジックアイテムをかけて魔法書を読むと、内容が直ぐに頭の中に入ってくるんだ」

「ソフィアが知ったら、心から欲しがりそうね」
 
苦笑しながらぶつぶつと手帳に書いてある事を読み上げているソフィアに目を向ける。

「いや……あいつは手に取らないよ。ソフィアは近道を行く性格じゃない」

「当たり前よ。だってソフィアだもの」

「相変わらずだなお前は」

「ソフィアだけにね」
 
あいつはこんな物には頼らない。