「扉で移動しているって事は転送魔法の一種だと思うんだ」

「瞬間転移(テレポーテーション)みたいな?」

アレスは更に封筒から写真を数枚取り出す。

「瞬間転移は自分が行った場所に飛ぶ事が出来る魔法だ。しかし奴らは学校には初めて来たはずだ」

アレスは一枚の写真を私に見せてくれた。

「これは……魔法陣!」

その写真を見た私の中に、ある一つの可能性が浮かび上がった。それはあの時にも思った事だ。

「あの召喚魔法と同じ魔法陣を使って移動しているってこと?!」

「その通りだ。あいつらは召喚魔法の魔法陣を使って移動している。あの中で魔法陣を描く担当者がいるんだろう」

きっと私たちが眠っている夜にでも、校内に侵入して魔法陣を描いたのだろう。それ以外、見つからないで魔法陣を描く事なんて出来ない。

「それであいつらの居場所なんだけど」

アレスが指をさした地図の場所に目を向ける。

「ここは確か……」

【忘却の山】と呼ばれていた山がある場所だ。その名の通り山に足を踏み入れた者の記憶を忘却してしまう山なのだ。

山の山頂には白い靄みたいな物が掛かっていてとても不気味に見えるらしい。

本当にあの山に隠れ家があるとするならサルワたちの記憶も消えるはずだ。

「忘却の山と呼ばれ記憶を消す山だとしても、あいつらはそこに居るんだ」

「でも忘却の山は人から記憶を消してしまう。いくらサルワたちでも、記憶を失う山なんかに喜んで行くとは思えないけど?」

「記憶を失わない魔法があったらどうする?」

「記憶を失わない魔法?」

首を傾げた私にアレスは手帳を取り出すと、そこに書かれている事を読み上げる。