「ソフィア!」

後ろからアレスの声が聞こえ振り返った。

「あっちから声かけてきたわよ」

「そうだね……」

こちらに駆けてくるアレスの周りには、いつの間にか女の子たちの集団はいなくなっていた。よく見るとアレスは手に何かを持っている。

「そんなに慌ててどうしたの?」

「教団の情報だ」

「っ!」

【教団の情報】と聞いて体に力が入った。

「今夜サルワが居たって言う研究所に向かう」

「研究所?」

【研究所】と言う単語を聞いて首を傾げる。

「サルワは元科学者だったんだ。その研究所で雫の研究をしていたらしい」

「だから……」

雫を抜かれそうになった時、直ぐに的確な位置を把握出来たんだ。

「その前にこの事を警察の人たちに報告しないと駄目なんじゃ?」

「全て報告しろとは言われていないんだ。それに他の人たちは別の事件の捜査で出ている」

「そう、なんだ……」

別の事件というのが気になるけど、アレスがそう言うのなら大丈夫なんだろう。

「理事長から外出許可は貰って来た。後は研究所に行くだけだ」

「私は貰っていないけど?」

事件に巻き込まれたばかりの私に、お父様が外出許可を出すはずがない。無断で外出した何て知られたら、きっと酷く怒られるだろう。

「今の生徒たちはほとんど自宅待機だからな。ソフィアもそう言われただろ?」

「うん。用事がない時以外は外に出るなって言われた」

だからやっぱりアレスと一緒に研究所に行くのは無理そうだ。