「ソフィアに知られたら絶対殺される……」

「あなたの覚悟に免じて、今日のことは言わないでおいてあげる」

「それは助かる」

【こうなった原因はお前のせいだろ】と思いながらソフィアの様子を伺う。薬を飲んだおかげで少し落ち着いたのか、ソフィアは小さく寝息を立てながら寝ている。

「薬が効いたみたいだな」

「即効性のある薬だもの。直ぐに効いて当然よ」

「材料は何を使ったんだ?」

「あなたが手に入れづらい薬草よ」

テトはそう言うとそこから先は聞かれたくないのか、枕元で寝るように丸くなった。

「今日聞いたことはソフィアには内緒よ」

「分かってる」

テトはそれだけ確認すると目を瞑って眠りに入った。

「……たく」

とりあえず整理してみると、俺は魔人化したソフィアによって蘇生された人間。魔人化したソフィアの記憶は本来のソフィアには引き継がれない。

魔人化したソフィアと本来のソフィアは全く違った人格だ。そのせいもあってソフィアの記憶は改竄されている部分が多い。

魔人化した後に傷を受けていた場合、体を治すため自然治癒に入る。

「少し魔人族について調べる必要があるのかもしれない」

魔人化したソフィアのことや赤子だったソフィアが、どうしてアフィアさんたちの住む屋敷の前に捨てられていたのか、なぜ魔人族は滅んでしまったのか気になることはたくさんある。

直接魔人化したソフィアに聞くのが早いかもしれないが、それはやめておこうと思う。

下手に刺激したら、またソフィアの体に負荷が掛かってしまうかもしれない。そうならないためにも慎重に動く必要がある。