「何か……方法はないのか?」

悔しい表情を浮かべて拳に力を込めた。

そんな俺の姿を見かねたのかテトは息を軽く吐くと口を開いた。

「一つだけ熱を下げる方法があるわよ」

「ほ、本当か!」

テトは昔から下げているブローチに振れると布袋を取り出した。

「これは私が作った熱を下げる薬よ。効くかどうかは分からないけど」

薬の入った袋を受け取り中から赤い粒を一つ取り出す。

「でも試す価値はある」

机の上に置いてあったコップを一つ取り水を注ぐ。ソフィアの元に戻り体を起こして薬を飲ませようとした時にテトが言う。

「そのまま薬を飲ませるつもりなの?」

「起こす訳にもいかないだろ」

テトは何か思いついたように笑うと言う。

「口移しで飲ませてあげたらどうかしたら?」

「なっ!」

その言葉を聞いて思わずコップを落としそうになる。

「な、何を言い出すんだ! 流石にそれは駄目だろ……ソフィアだって年頃の女の子なんだぞ!!」

「別に良いじゃない? ソフィアはあなたの事が大好きなんだから」

「……っ」

テトは面白そうに尻尾を左右に振る。

「こいつ……」

絶対面白がって言っているだけだ。でもこのままソフィアに薬を飲ませても、上手く飲んでくれるかも分からない。

「早くしないと熱が上がっちゃうわよ?」

「……」

俺は覚悟を決めて口の中に薬と水を飲みそのままソフィアに口移しで飲ませた。