「そんなわけないだろ! 今さっき眠りの魔法が効いて」

「ソフィアが眠ったのは眠りによる物じゃないわよ。魔人の彼女がソフィアを眠らせたのよ」

「っ!」

信じられないと思いつつソフィアに医療魔法をかける。しかしテトの言う通り医療魔法を掛けているはずなのに、熱が下がっているようには見えなかった。

「そんな……」

テトはソフィアの肩に乗る。

「ソフィアの体に巻かれている包帯を外してみなさい」

「良いのか?」

頷くテトの姿を確認し腕に巻かれていた包帯を丁寧に外していく。そして包帯が外された腕を見て驚く。

「傷がなくなっている!?」

昨日の戦いで大怪我を負ったはずなのに、腕には傷一つ残っていなかった。まさか体にあるはずの傷は全て消えているのか?

「魔人族は傷を治す時に熱が出るのよ」

テトの言葉に耳を傾けながら急いでソフィアをベッドに寝かせる。

ソフィアの息遣いがさっきよりも荒くなっている。

「ソフィア……」

俺はそっとソフィアの頬に触れる。

このままだとソフィアの体力が保たない。医療魔法が効かないってことは薬も効かないのだろう。

「魔人族には自然治癒が一番効果的なのよ。下手に医療魔法を使って無駄に魔力を消費するよりも、そっと寝かせておいた方がいいわよ」

「本当にそれで良いのか?! 苦しそうなんだぞ!」

傷ついた人たちを癒やすために医療魔法を学んだのに、これじゃあ何の意味もないじゃないか!