ヴェルト・マギ―ア ソフィアと黒の魔法教団

「何で急に出てきたんだ?」

体に抱きついているソフィアの体を少し後ろに押した俺はそう問いかける。

「楽しそうな話しをしていたから」

そう言った彼女は無邪気に笑った。

その笑顔を間近で見て心底“可愛い”と思ったのは、あっちのソフィアには言えないだろう。

「アレスが私に聞きたいのは、何で記憶を消したのかでしょ?」

「話が早くて助かるよ」

俺から離れたソフィアはその場で一回転すると微笑んで言う。

「理由は一つだけ」

腕を広げて歩み寄ってきたソフィアの指先が俺の頬に触れると、彼女がそっと頬に口づけを落とした。

「なっ!」

突然の出来事で頬に熱がこもるのを感じた。

「い、今のは?!」

頬からソフィアの手が離れ、俺と同じく頬を赤くした彼女が照れながら言う。

「あなたの記憶を消したのは、アレスが大好きだから」

「っ!」

“大好きだから”と言われ頬が更に熱くなる。

「だってアレスは私に約束してくれたもの」

「や、約束?」

いったい何の約束だ? 特にこれと言った約束をした覚えがないけど。

「私が大人になったら結婚してくれるって」

「…………はああ?!」

それ本当に俺が言った言葉なのか!? 全く身に覚えがないだけど!

「やばい……子供って怖い」

だいたい何でそんな将来に関わることを簡単に約束しているんだ俺は!

「いや、待てよ」

その約束をしたのは魔人化したソフィアの方なのか? それとも魔人化していないソフィアの方なのか?

「だからあなただけ蘇生したのよ」

「っ!」

その言葉を聞いた俺は深く息を吐いて自分を落ち着かせる。

「蘇生させることが出来たなら、アフィアさんだって蘇生出来たはずだろ?」

もし蘇生が出来ていたなら、アフィアさんは今でもソフィアの隣に居たというのに……。

「それは無理だよ〜」

彼女の真っ赤な瞳の色が更に濃さを増す。

「だって私はアレス以外の人間に興味ないんだもん」

そう言い放った彼女の顔を見て鳥肌が立った。