禁断の図書室と言うのは、この学校の理事長や魔法協会から認められた者しか入ることを許されていない、特別な図書室のことだ。

前に私はこの学校の理事長であるお父様に内緒で、その図書室への侵入を試みた事がある。

しかし図書室の扉には複雑な魔法で結界が張られており、その結界は私の魔法でも解く事は出来なかった。

「入るにしても……あの結界が張られてあるんじゃ入りようがないし」

図書室に出入り出来る入り口は結界が張られているあの扉だけだし、周りには窓の一つも見られない。

もし地面を掘って下から図書室の中へ侵入しようとしても、扉に結界が張ってある以上は、室内にも結界が張ってあると考えるべきだ。

となるとやっぱり、扉を開ける鍵が必要になってくる。

「あの部屋には何かがある。絶対に……」

気がつけば外はもう日が沈んていて辺りは真っ暗だった。

どうやら時間のことをすっかり忘れて考え事に耽っていたようだ。

「もうこんな時間……」

そう小さく呟きながら、机の引き出しから一本の杖を取り出し、本棚の中にある一冊の本を宙に浮かせて机の上に置く。

そっと手をかざすと本にかけられている鍵が外れゆっくりと開いていく。

「今日学んだことは――」

私はその日に学んだことを日記としてこの本に記している。

それは読み返した時に自分がその日に何を学んだのか直ぐに分かるようにするためだ。

「これでいいかな」

日記を書きえ終えた私は部屋の明かりに向かって言葉を発する。

「明かり(ライト)」

その言葉で部屋の中が暗くなる。

「疲れた……」

そう言えばアレスはいつ頃からこの学校に来るのだろうか? 

あいつの実力なら緑雫くらいのクラスに配属されるんだろうな。

私と同じ黄雫なんてことはないだろうし。

「まあ……いいや」

この学校に来たとしてもあいつと関わるつもりはない。

一緒に行動することもない。

そう思った私はベッドに倒れ込み静かに目を閉じた。