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「やっと効いたか」

寝息を立てているソフィアを確認し頭を撫でていた手を離す。

少し前に俺はこの部屋の中に医療魔法の一つである眠り(スリープ)の魔法をかけていた。流石のソフィアでも体調が悪いせいで気づかなかったみたいだ。

「ばれなくて良かった」

“勉強する!”って聞かないソフィアを思ってかけた魔法だったけど、素直に寝てくれたからかける必要もなかったな。

ソフィアの額に手を当て体がまだ熱いことを確認する。

やっぱりこの熱は――

「魔人の力か……」

そう呟いた時だった。

「あら、何で分かったの?」

いつの間にか俺の肩の上に乗っていたテトが耳元でそう言う。そんなテトを横目で見つつ問いかける。

「あんた……一体何者だ?」

「さあ何者かしら? あなたがお祖父様から襲わたっという探偵の力で推理してみたらどう?」

テトはニヤリと笑い肩の上からベッドへと下りる。

「今じゃなくても良い、いつかお前の口から言わせてやるから」

「そう? つまらないわね」

本当につまらなそうにしながら、テトは尻尾をゆらゆらと揺らしている。

「教えてくれテト」

そんなテトに俺は問いかける。

「ソフィアは魔人族なのか?」

「……」

テトは黙ったまま枕元まで歩いて行く。

「あなたはそれを知ってどうするの?」

テトの黄金の瞳が鋭く光ると目を細めて聞いてくる。

「ソフィアを殺すの? それともこの子の気持ちを裏切ってあいつらに引き渡す? あなたのお母様の雫と引き換えに」

「そんなことするわけないだろ」

テトの言葉に頭を左右に振った。

この使い魔は俺をどんな人間だと思っているんだ……。

「ただ俺はソフィアが何者なのか知りたいだけだ」

真っ直ぐテトを見つめてそう応える。テトはじっと見てくると口を開いた。

「ふ〜ん……ま、いいわよ。話してあげる」

そう言ったテトは再び肩の上に乗ってくる。