「ここに名前を書くだけでいいから」

「……分かった」

胡散臭いと思いながらも、アレスからペンを受け取り指定された場所に名前を書く。

「これでいいの?」

「ああ」

ペンを机の上に置き契約書をアレスに渡す。アレスは契約書の下に挟まっていた一枚を胸ポケットにしまうと残った一枚に魔力を込める。魔力が込められた契約書は、ある物へと姿を変えた。

「ほら、これ付けてろ」

「これは?」

渡されたのは私の名前が入ったバッジだった。

「それは探偵の助手としての証だ。それを付けていれば、俺が居なくてもある程度のところには入れる。禁断の図書室とか魔法協会が管理しているところ以外だけどな」

こんな物で出入り出来るんだ……。

そう思いながらバッジを見下ろしたときアレスの手が肩の上に置かれた。

「やることは全部済んだからそろそろ寝ろ」

「そうね。色々と話しは聞けたし寝た方が良いわよ」

アレスト似たようなことを言うテトを見下ろし私は渋々頷いた。

さっきまで寝ていたから寝る気になれないんだけど……。

「アレスは警察署に戻るの?」

「お前が寝たのを確認したらな」

「そっか……」

少し寂しいと思いつつ布団を被る。

「熱が下がるように頑張るから、一人で教団を追うとか思わないでよ」

「分かってるよ」

優しく髪を撫でてくれる感覚に心地よさを感じつつ、私の意識は睡魔の中へと消えていった。