アレスの助手になんてなったらこき使われるに決まってる!

それはもうシュー先生の時みたいに。

「お前が俺の助手になるって言えばメリットがあるんだけど」

「メリット?」

いや、デメリットしか感じないんだけど?

首を傾げた私に見えるように、アレスはキーケースから一つの鍵を取り出した。

その鍵を見た私は目を丸くする。

「そ、それって……!」

その鍵は一度だけ見たことがあった。

何度も欲しいと思った鍵だから忘れるはずがなかった。

「これがあれば、お前が入りたがっているあそこに簡単に入れるけど?」

「それはあの図書室の鍵だよね?」

アレスの言葉を無視して私は前に乗り出した。

どうしてアレスがこの鍵を持っているの? これはお父様が厳重に保管している鍵のはずだけど……。

まさか……お父様! “アレスが学校に入学してくれるならこの鍵を渡す”って言ったんじゃないの!?

じゃなければ事件の捜査で忙しいアレスが、簡単に入学してくるはずなんてない!

キーケースに鍵を戻したアレスはそれを上着のポケットにしまうと言う。

「お前の言う通りこの鍵を使えば禁断の図書室にも入れる。理事長から許可は貰っているけど、お前は許可を貰っていないから図書室に入る時は俺も一緒に居ないといけない」

私は恨めしい目でアレスを睨んだ。

あの図書室に入れることは嬉しいけど、アレスと一緒じゃないといけないのが納得いかない。

私には駄目って言っておきながら、アレスにはいいよって言って……。

いや……でも。何でお父様はそうまでして、アレスを学校に入れたかったのだろう?

ただ単純に学校に来てほしいなら、あの鍵を渡す条件なんていれないはず。

もしかして何か特別な理由でもあるの?

「それでどうするんだ? 俺の助手やるか?」

「……っ」

今ここで私が頷けば図書室に入るチャンスがやってくる。今まで知らなかった魔法書が読めて、たくさんの魔法を習得することが出来る。こんな滅多にないチャンスを逃すわけには――