「お前が……俺の力になりたい?」

私を見てくるアレスは“やれやれ”とでも言うように深く溜め息を溢した。そんなアレスを見て少し苛ついた。

「正直、あんたなんかの力になりたくないけど」

苛ついたままいつもの憎らしい口調で言ってしまう。

「正直に言うなよ……」

「別に良いでしょ?」

何でいつもこんなことを言ってしまうのだろうと反省しつつ視線を逸した。

「本当に素直じゃないのね」

「う、うるさい!」

クスクスと笑うテトの口を私は慌てて塞いだ。

「でも、ありがとな」

優しく微笑んだアレスは優しく頭を撫でる。

「さ、触らないでよ!」

「ここは素直に撫でられてろ」

私の反応が面白かったのか、アレスは調子に乗ってわしゃわしゃと髪をかき混ぜてきた。

こいつ……!

アレスに撫でられたとき、懐かしく感じたなんて言ったら更に調子に乗りそうだ。

「以上が俺の持っている情報の全てだ」

髪から手を離したアレスは胸ポケットから手帳をしまった。

「居場所はまだ分かっていないんだよね?」

「もう少しで掴めそうなんだけど情報が足りないんだ」

やっぱろ情報が少なくてそこまで辿り着けないんだ。

アレスのお母さんを助けるためにも、早く教団の居場所を突き止めないと……。

「そこでお前に一つ提案があるんだけど」

「提案?」

首を傾げる私を見てニヤリと笑ったアレスは人差し指を向けてきて言う。

「ソフィア。俺の助手になれ」

「…………はああ?!」

突然“助手になれ”と言われた私は、目を点にしたあと声を上げた。

いきなり助手になれってどういうこと?! アレスの力になりたいとは言ったけど、私まで探偵をやるなんてことは一言も言ってない!

「何で助手をやらないといけないの?」

「さっき俺の力になりたいと言っただろ?」

うん、言ったよ。確かに言ったよ。でもね――

「助手をやるとは言っていないでしょ!」