昨日の戦いで私は自分の無力さに痛感した。どんなに勉強したって、たくさんの魔法を覚えたって実践で使えないなら意味がない。

だからもっと勉強以外にも実践を積んだり魔力を高めたりしなければならない。

もう負けないためにも……。

そう思って一歩前へ踏み出した時、また目の前が大きく揺れた。

「いい加減にしろ! 今は勉強よりも寝ている方が優先だ」

「これくらい……平気だから」

「……はあ。お前に一つ言っておくことがあるんだ」

アレスは軽く溜め息を吐くと私の顔を覗き込んで言う。

「小竜やワイバーンたちのせいで、学校の校舎の損壊が酷いんだ。学生寮も酷く損壊しているって聞いた」

「学生寮も?」

私の部屋には防御魔法をかけてあるから無事なはずだけど?

「お前の部屋もワイバーンの咆哮によって黒焦げだったらしい」

「えっ……」

アレスの言葉に私は目を見開いた。

私の部屋が黒焦げ……魔法書とかも全部?

アレスの言葉がぐるぐると頭の中を巡り、酷い目眩に襲われた私はその場に座り込んだ。

「お、おい!」

「そんな……」

部屋が黒焦げになろうがそんなのどうでもいい。ただ魔法書だけは守りたかった。大切な日記だけは……守りたかった。

私の体を抱き上げたアレスはベッドへと私を寝かせる。

「しばらく寮の方にも近づくなって言われている。工事が始まるらしいからな」

「……だったら、アレスの知っていること全部話してよ」

「はっ?」

私はアレスの腕を強く掴んだ。

それに驚いたのかアレスはギョッとした顔を浮かべる。

「あいつらをぶっ飛ばすためにも、アレスが知っていることを全部話してよ!」

絶対あいつらを捕まえて私が持っていた魔法書の分のお金を請求してやる!

そのためにはまずアレスから情報を聞き出さなければならない。