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体が熱くてだるい。そのせいなのか喉が酷く乾く。こんな感覚、今まで感じたことがない。私の体はどうなってしまったのだろう?

「……っ」

目を開くと視界がはっきりとしてきた。最初に目に飛び込んで来たのは真っ白な天井だった。

「……ここは?」

私は見覚えのない部屋のベッドで寝ていた。ベッドの周りはカーテンで閉ざされているせいで、部屋の中の様子が見えない。

「……病院?」

どうやら私は病院のある一室に居るみたいだ。誰が私をここに運んだのだろう?

「確か……」

黒の魔法教団と名乗るサルワたちが、小竜やワイバーンたちを使って学校を襲って来たんだ。サルワに襲われてミッシェルを学校の外に逃がした後に私は――

「どうなったの?」

そこから先を思い出すことが難しかった。熱のせいで脳が上手く働かないせいだろ。ボーッとしながら体をゆっくりと起こす。

「あら、起きてたの?」

起き上がった時に黒い塊がベッドの上に乗ってきた。

「……えっ?」

その声を聞いた私は少し遅れて反応を返す。

「あらあら、完全に脳が働いていないわね」

黒い塊を見た私は小さく名前を呟いた。

「……テト?」

「そうよ」

テトは優しく微笑むと私の腕のすり寄った。

「心配したわよ。なかなか目を覚まさないんだから」

「私はどれくらい寝ていたの?」

「丸一日かしらね」

そんなに寝ていたのかと思いながら、私は気になったことをテトに聞く。

「学校の方はどうなったの?」

“学校”と聞いたテトはムッとした表情を浮かべた。

「あなたねぇ……学校のことよりまずは自分のことを心配しなさい」

「でも、今後の事とか気になるし……」

テトにそう言った私は肩を落とした。

「風邪を引いている時は素直で可愛いんだから……」

テトの声が小さくて何を言ったのか聞き取れなかった私は小さく首を傾げた。